dear
□甘いキスをあなたに
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愛しい彼の誕生日を目前に控えた彼女、プリノは頭が混乱していた。
きっかけはキャロルの、とある一言だった。
数日前…。
「プリノさんは紅さんの誕生日、どうやってお祝いするんですか?」
「…それが2人共、仕事が入ってて日中は抜けられそうもないんですよ。だから、祝うとすれば夜なんですけど…。実はプレゼントもまだ、決まっていなくて…。」
7月1日は平日。
魔王であるプリノは勿論、紅も仕事で忙しい。だからせめて夜ぐらいは、ちゃんとお祝いしてあげたいと思っていた。
しかし、プリノは肝心のプレゼントが決まらず悩んでいた。
『せっかく指輪なんてくれたんだし、私も紅にちゃんとしたプレゼントを渡したい…!』
だが正直、紅の欲しい物がわからなかった。
アクセサリー類は既に、チョーカーとピアスがある。これにリングまで付け足すと、少々ゴテゴテし過ぎになるような気がした。
かと言って、変に気に入らない物を渡すのも嫌だった。
せっかくの誕生日。どうせなら、彼の欲しい物を渡したい。
そう考えていると、キャロルがとんでもないことを言い出した。
「じゃあ、プリノさん自身をプレゼントにしちゃえばいいんじゃないですか?」
「…は?」
プリノは一瞬、何を言われたのか本気でわからなかった。
しかし、その直後に言葉の意味を悟ったプリノは顔を見る見るうちに赤くしていった。