――おめでとう
屯所に投げつけられた自分宛の封筒には、こう書かれた紙が一枚入っていた。
#5月5日(Hijikata×Gintoki)
「たのもー」
「あ、お前!」
扉を開けた後に声をかければ中から不満そうな声があがった。
「そういうのは空ける前に言えよ。警察さんが不法侵入だぞコノヤロー」
「いいだろこれくらい。ケチケチすんなよ」
「うっわ開き直り?ウザ!!」
ぶーぶーと文句を垂れる銀時を無視してリビングへと足を向ける。
ソファに腰を落ち着けると、仕方ないとばかりに銀時もリビングへと入ってくる。
「お茶でいい?」
「お、サンキュ」
礼を言うと、そのままキッチンへと消えていく。
しばらくするとお盆に茶を二つ乗せて戻ってきた。
「はい、どーぞ」
「おう」
「・・・で何が欲しいんだよ」
「・・・は?」
「惚けんじゃねーぞてめぇ」
「や、惚けてねぇし」
「じゃあ何できたんだよ」
「や、何がめでてぇのか聞こうと思って」
「・・・マジ?」
「じゃなきゃ来ねぇだろ」
「何か・・・心当たりとかないの?」
「ない」
「・・・・・・・・・」
「な、なんだよ」
はぁああああ・・・・
盛大にため息をつくと、目の前の男がビクリと肩を震わせた。
どうやらこの男は本日のビックイベントについて何も気がついていないらしい。
つまり、送りつけてやった手紙の意味を理解してない、ということ。
「なぁ、鯉のぼりって知ってるか?」
「馬鹿にしてんのか」
「それって何の日に飾るか分かるか」
「あ?そんなのこどもの日に・・・・・・・・・・あ」
どうやらやっと気がついたらしい。
途端に顔を真っ赤にしてこちらを見てきた。
そんなに照れちゃって、うい奴。
「・・・・・覚えてたのか、お前」
「バーカ、銀さんは気配り上手なんですぅー」
「・・・サンキュ」
「いえいえ。で、何が欲しいの?」
尋ねると、うーんと唸り始める。
悩むものだとは思わなかったので、少し笑ってしまった。
欲しいものなんていくらでもありそうなものだが。
ようやく決めたのか、土方がゆっくりと顔を上げた。
「今日」
「は?」
「お前の今日一日を貰う」
「・・・・・・」
そう来るとは思わなかった
予想外の回答に目を白黒させていると、今度は土方がにやりと笑った。
「バッカじゃねぇの」
それでもそれに付き合ってやる自分も余程の馬鹿らしい。
躊躇いながらも頷くと、目の前の男が優しく笑った。
HAPPY BIRTHDAY!!!!
君が生まれたこの日を一緒に祝いたくて
2009/5/5