夢の足跡

□2009.11.
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「なんかいい匂い…なんの匂い?」



「いちご味の飴」



「おれもたべたい〜」



「残〜念、これが最後のひとつ」



「えーっ…じゃあ、それ分けて」



「ダーメ。これいちご味だけど一応のど飴なんだから」



「ええやん、けち」



言うが早いかけんちゃんは
あたしの両頬を無理やりつかんで唇を押し付けてきたかと思うと
舌を差し込んできた。




「むっ、うぅぅ…!」




いつもなら、その長い舌に絡め取られるのはあたしの舌なのに
今彼のそれが狙っているのは小さな赤い飴だったりして。



分かってはいても、いきなりの濃厚なキスに動揺してしまったあたしは
抵抗するもむなしく、あっさり飴を奪われてしまった。




「も〜らいw」



「なっ、なにすんのよっ!」



「…そんな赤い顔して口元ぬぐいながら怒っても可愛いだけやで」



「…けんちゃんのばかっ」



「いーじゃん、飴くらい」



「違うの!…風邪気味だから…うつしたくなかったのに!」




それが思わぬ反撃だったのか
きょとんとして、一瞬固まってしまったけんちゃんだったけど
すぐさま満面の笑顔になって。



「あー、そんなんどうせ無理」



「?なんで?」




「たとえどんな菌もってるって言われたって、一緒におるのにキスなしとかありえん」




「いや、だって…けんちゃんもうすぐLIVEだってあるし…」





「菌やろうがなんやろうが、全部ふくめたおまえが欲しいからしゃーないやん」







……



そんな。


とびっきりの笑顔で殺し文句言うなんて。





目の前で
当たり前やん?って
少し胸を張って威張るけんちゃんは大人なんだか子どもなんだか。






それ以上怒るなんて、あたしには到底無理な話で。




もっと自覚を、だとか
いろいろ身構えてしまうあたしの気持ちまで
いつも丸呑みにしてしまう。




いろんな意味で大きなけんちゃんに
あたしはいつも負けっぱなし。





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インフルにかかっていたせいかこんな妄想ばかり…w

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