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□なきむし
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が、そんなファルコの予想に反して、ルイージは黙りこくったままだった。
「…」
「……」
「……は?まじ?」
ファルコから笑みが消える。
そうだ、そういえばこいつはやたら強いくせに争うことが嫌いだった。
何を恐れているのか知らないが、そんな理由で戦いに支障が出るとしたら正直、それは足手まといになる。
これは"戦い"なのだ。
はあ、とため息を吐く。
「…あのな、ルイージ。敵が強いかも、とかそんなん考えてる暇なんてねえんだよ。オレたちは、」
「会えなくなるかと思った」
今度はファルコが黙り込む番だった。
またしても予想外の返答に、思わずファルコは動きを止める。
ルイージが伏せていた蒼を開ける。
そこに涙が溜まっているのを見て、ファルコは思わずう、と唸る。涙は苦手だった。
「だって、みんな助からなかったかもしれないんだよ…?もし、あのとき僕とネスが起きなかったら、みんな、みんな…!」
発せられた言葉はそこまでで、嗚咽にかき消される。
ぼろぼろと大粒の涙が溢れて、重力に従い落ちていく。
その様子を見、ファルコは先ほどとは違う意味でのため息を吐いた。
ああ、あああああ、もう、どうしたらいいものか。
生憎、自分には泣いている相手を慰める技術など持ち合わせてはいない。
ルイージがすぐに泣きやむ様子はない。
大の大人が、いい年して泣いているということに恥を感じていないのだろうか。
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