□あと少し
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その白い肌は黒い空間にはよく映えた。
床に散らばる青銀も、闇の中でその存在を主張している。

嫌いな色。
穢れを知らないような色が、ゾークは大嫌いだった。
同時に、バクラのその白い肌も青銀の髪も、大好きだった。

「……ゾーク、」
「まだか」

細い首を掴んだ指に、少しだけ力を入れた。
途端、苦しそうに歪められる表情。ゾークが好きな表情だ。
今、バクラはきっとゾークのことしか考えていない。それだけでゾークは心が歓喜することに気付いている。
バクラが好きだ、だから、

「我の復活は、まだなのか」
「っ…そう、急かすな…!」

苦し紛れに、搾り出された声。
ゾークは指の力を抜く。別に、殺そうとは思ってはいなかった。
横たわるバクラが、こちらを見上げている。
紫の眼光も、ゾークは好きだった。

「そうそう思い通りにはいかねえよ、…でも、あとちょっとだ」
「そうか」

あとちょっと。
あと少し。
ゾークは喜びに身体が震えそうだった。
あと少しがどれだけなのかはわからない。
でも、自分の望みが、ようやく叶う。
ゾークは微笑み、バクラの頬を撫でる。嬉しい。歓喜している、心の底から。

「お前と、ようやくひとつになれる」

ずっと、ひとつになりたかった。
愛しい存在とつながり、一つの存在として共に過ごしたかった。
ようやく叶う。ようやく、バクラとひとつになれる。


バクラとの距離は、まだプラスにある。
「早く、お前とひとつになりたい」

彼の表情に変化はない。
ただ、ゾークを見上げている。無抵抗に。
ゾークは横になったまま、バクラの身体を抱き締めた。
あと少し、を待ち焦がれながら。

(彼との距離を、マイナスにするために)




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