その他

□リグレットコール
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*ダグナークロウ注意





生前とは違い、深い絶望に満ちた瞳。
だが黒の中でも存在を強調している灰はとても美しい、と首に手を掛けられた鬼柳はぼんやりとそう思った。


クロウがいつ死んで、ダークシグナーになったのかは知らない。最初知ったときは流石に驚いたが、彼がダークシグナーとなった理由などには興味がなかった。
ただ、言えること。ほとんどのダークシグナーは憎しみから蘇るが、クロウの場合は例外のようだった。

「…クロウ」
「……」

名前を呼べども、返事はない。
この様子だとなんとなく殺されそうなのだが、不思議と恐怖はない。
自分より彼の方が先に死ぬような、そんな儚さを漂わせていた。

「…モーメントに飛び込んだら、どうなる」
「さぁな」
「死ねるのか」
「さぁな」
「オレを殺してくれるのか」
「さぁな」

適当に答をはぐらかしたら首に掛けられた手に力が入る。
流石に怒ったかな、と危機感のない頭でそう思う。やはり、というか、クロウは深い後悔で覚醒してしまったらしい。
既に死んでるのに、死を望んでいる。
じゃあなんのためのダークシグナーだよ、と鬼柳は彼を嗤いそうになる。

「鬼柳、ぶざけんな…!」
「じゃあさクロウ、なんであんたはそんな死にてえのよ」

ぴくりとだけ反応し、クロウの灰が細められる。
鬼柳は余裕ありげに笑みを浮かべる。
クロウの瞳に、動揺が走ったように見えた。


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