BASARA

□最期の想い
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負傷した腕を抱えて、ひたすら城を下る。
息は整わずに荒く吐かれるが、それでも足は止めない。あまり時間は残されていなかった。


豊臣軍本拠地・大阪城。
最早この城は城とすら呼べないくらいに破壊されていた。
大阪城に織田軍が攻め入り、魔王・織田信長の手によりこの城は惨劇の舞台へと変わり果ててしまった。


豊臣秀吉は惨たらしい戦場の跡を黙々と歩いていた。
信長に敗れ、止めを刺されたかと思ったが、運良く生きていたらしい。

だが軍の復興は難しいだろう。
信長の手による死は免れたが、致命傷を負わなかったわけではなかった。
血は止まらない。視界もだんだんと霞んでいく。
それでも彼はひたすら城を下った。
天守閣から離れ、死体(そのほとんどが豊臣の兵である)の転がる戦場を歩く。

ただ一つの目的の為に。

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