BASARA

□逃避行
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*20000Hitリクエスト「秀半」





手を差し伸べて。



自らの細く、弱々しい指に比べて、全てを掌握せんとする大きな手のひら、ああ、素晴らしい。まさに覇王にふさわしい。

「どうした、半兵衛」

威厳のある低い声、見上げる程の巨躯、未来を見据える赤き瞳、揺るがない心。どこをとっても彼は覇王だ。立派な覇王だ。
そんな猛々しい彼の右腕が、僕であってもいいのだろうか。
弱く、脆く、今にも潰れてしまいそうな僕で。

「ねぇ、秀吉」

話しかける、ああ、声すらも細く消えてしまいそうだ。忌々しい。
秀吉の瞳が僕を捉える。
いいのか僕で、君の気迫に掻き消されそうな僕なんかで。

「僕は、…」

言葉に詰まる。
僕は臆病者だ。

潰されてしまう。掻き消されてしまう。
僕ではいけない。僕はきっと、君の足枷となるだろう。それが一番許せない。


こんなにも僕は心が弱い。
「君に掻き消される」


そっと、手を包まれて、大きな掌が、頬に触れて。
秀吉が笑う。
とてもとても綺麗な笑顔だった。(掻き消される、)

「ならば半兵衛」

緋の瞳と視線がかち合う。
強い、優しい、ひかり。

「我はお前に呑みこまれる」

こんな愚かな僕を、君は赦してくれるだろうか。




掻き消す光と呑みこむ闇、
一緒に消えましょう、何故なら二人は二つに一つ、
(さぁ 一緒に逃避行)




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