BASARA

□赤汚
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世界は真っ赤だ。
いつの日も何処にいたって、鼻孔の掠めるのは火薬と血と、…戦の臭い。


そうして駆り出されるのはいつでも忍だ。

否、そうでなければならない。
そうでなければ、自分たちの存在価値などそこらの蟲よりも存在しない。


世界は真っ赤だ。
いつの日も何処にいたって、感じるのは肉を引き裂く嫌な感触、鼻につくのは嫌な死臭だ。
ああ、真っ赤だ、何も見えない。


雇い主が、戦に勝つために。
そのための忍。
戦の中でしか生きられない、そう"作られた"モノだ、我らは。
乱世が終われば生きる意味はなくなる。
乱世が続くまで生きる意味は存在する。
いつか来るその時まで、
我らは我らの誇りを護るだけ。




真っ赤な世界だ。
地も空も人も、自分の両手も全部全部真っ赤に染まって、嗚呼。


伝説の風魔一族の頭領として、捨てられるものは全て捨てた。
任務遂行に邪魔な感情も例外はなく、こんな赤い世界など掃いて捨てるほど見てきた。
何も感じない、何も思わない。
ただ赤いな、と。
最低限働く思考で、ただそれだけ。


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