BASARA

□望む人形
2ページ/4ページ


「卿の求めるものは、何かね」
「…?」

半兵衛が怪訝そうな表情をする。罠、だろうか。
だが、松永が何か仕掛けようとする様子は見せない。

「…僕自身の求めるものなど、何も無い。秀吉が望むなら、僕は」
「…そうかね」

ふ、と松永が嫌な笑みを深くする。
瞬間、松永の剣が抜かれる。
半兵衛はすぐに反応し、関節剣を伸ばしてそれを防御した。
刃に触れる関節剣の糸が、キリキリと音を鳴らす。

「卿は、まるで操り人形だな」
「…何?」
「覇王の望みのままに動く人形…それと同様だな」

刃が離れ、再び一閃する。
半兵衛は後ろに飛ぶことで攻撃を受けることを防いだ。
松永と半兵衛に、大きな距離が空く。

「っ…僕を、物扱いするんじゃない」
「違うかね?自らは何も望まず、主が求めるままに動く、忠実な人形…すでに、壊れかけてはいるが」

関節剣が閃いた。
自らに向かってくる切っ先を、松永はたやすく弾き飛ばした。
唇を噛み締める半兵衛の表情は、強い怒り。

「黙りたまえ…!!」

その先に見据えるものを射貫かんとする、紫暗。
松永は目を細める。彼はやはり、松永にとって上玉である。

.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ