短編小説
□PM6:00のティータイム
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スースー…
さっきから、隣で寝てる人の寝息。
それが、ごく自然に耳に入って溶けていく。
その繰り返しで、俺まで眠くなってきた。
いわゆる催眠ってやつか。
『PM6:00のティータイム』
俺と寝息をたてている人物(リーダー)は今、楽屋で待機中。
なんだけど…
静かすぎて落ち着かないわけよ。
この空間に堪えきれず、俺は口を開いた。
「大野さん…?寝てる??」
「んーーー。」
寝てるのかと思って小声で言ったのに、おっさんは片手を挙げてヒラヒラさせてる。
…なんだ。起きてたの。
「ふーん。そう。」
わざとぶっきらぼうに返事をしたけど、なぜか気持ちがホッとして笑みがこぼれる。
「…かわいいな。」
何の躊躇もなく、おっさんは言い放った。
ダメだって…。
不意打ちだって……。
「…言うなよ〜」
強がって言い返すものの、熱くなる顔は隠せない。
本当可愛い。と言ってから、いつもの不器用な笑顔を俺に向けるおっさん。
何もかもを包んでくれる優しい笑顔…。
俺はつくづく、この笑顔に弱いんだよ。
…ホラ。また顔が熱くなる。
ーPM6:00ー
俺はあなたの笑顔が好きだよ。
大野さん。
-END-