短編小説

□いとしのチキン
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「お疲れさまっす!」

たった今舞台稽古が終わり、やっと楽屋に戻れる。

早く戻んなきゃ…。

俺の愛しい…

愛しすぎてたまらない……

“唐揚弁当ちゃんがまっているのだからっ!!”



『いとしのチキン』



楽屋のドアを開けて、すぐ目の前のテーブルに目当てのもの発見!

「オゥ!マイ!チキン!!!」

俺の唐揚弁当ちゃんに駆け寄ろうとしたときだった。

誰かに腕をつかまれた。

「うわっ!?」

ビックリして振り向いたら、そこにはニノが立っていた。

「なに、そんな驚いてるのよ。」

ニノが笑いながら言う。

「いや、だってまさかニノちゃんがここに来るなんて思ってなかったし!」

なんか、必死になってる俺がいる…(笑)

「そんな必死になるなよ!」

「なってないよ!」

これも必死な言い訳…(笑)

「いや、なってるだろ??」

でも、この一言で丸く治められてしまう。

「……ハイ。」

あー。情けねーな、俺…。

分かれば宜しい。とばかりにニノは俺の肩に手を置く。

…ところで。

「何でニノちゃん、ここ来たの??俺は唐揚げ弁当を……」

「そうだ!そうだよ!!これから俺ら、撮影が入ってんの!!」

…と早口で言うと、俺の腕をつかんで

「ホラ!行くよ!!」

とゆーことで、俺は拉致られた。

…って、えぇーっ!?

唐揚げ弁当ちゃんが食えないじゃんっ…!!
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