短編小説
□still...
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君と一緒にこの長い道を歩く。
その先に何があるのか。
どんな困難が待っているのか。
今はまだ分からないけど…
このしっかり繋がれた手と手の温かさだけは
嘘じゃないよね。
『still...』
桜の花びらはもうほとんど散ってしまって、
俺たちの足元をピンクのカーペットが覆っている。
「…もぉー…散っちゃってんじゃんー。」
俺はガッカリしてリーダーに文句を言った。
…だって、やっと2人の都合が合ってお花見しに来たのに。
「…しょうがないよ。」
いつもの、のんびりした口調でリーダーが言う。
「しょうがなくないよ!…だってせっかくっ…」
《“2人きり”でお花見来れたのに!》
出てきかけた言葉を喉の奥で止めた。
「…せっかくニノとお花見しに来たのにな。」
リーダーの顔がしょんぼりする。
…が、すぐに明るい笑顔を俺に見せた。
「わかった!俺がいいところに連れてってやる!!」
すかさず、俺の手を取って引っ張る。
「……本当ですかー??」
半信半疑で聞くと
「いいから、来てみろって!」
と返してから、リーダーは自信満々に俺を連れて歩きだした。