Novel

□Sealed memory
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雲の間から射す陽光。
そんな光に照らされているのは
金髪緑眼の少年と黒髪金眼の青年。


「ふぅ、どうしてそんなに警戒するんだい?ギルバート。」
「うるさいっ!オレの名を容易く呼ぶな!貴様…一体。」
「あぁ、怪しい者だ。」
「…は?」


少年は腕組をしてやや困ったようにその場に立つ。
その目の前には銃を構えた態勢で立つギルバートと呼ばれた青年。
なんとも言えぬ会話…。


「だって…怪しくないです、なんて言ったって君は信用なんてしないだろう?」
「それは…。」


いつだっただろうか…
前にも一度言った覚えがある言葉…。

そう思いながら
一歩ずつギルの方へと足を進める少年。


「ね?だから、私は本当のことを言っただけなんだよ?ギルバート。」
「だから、オレの名を容易く呼ぶなとっ!」
「それが…例え君の主人や友達ででもかい?」


ピタリと少年はギルの目の前に立ちゆっくりと腕を上げ
微笑みながら彼の頬に優しく触れた。


「お前はオレの主人でも友人でも、ないっ!」


触れられた瞬間にギルはその手を払いのけ
言葉を言い放った。


「…本当に忘れてしまったんだね。ギルバート…私は、」
「早くオレの…主人を返せっ!」


払われた手を寂しそうな顔で握り締め話す少年の言葉を遮りギルは
今、一番に思う人を返せと訴えた。
少年の表情は著しく急変しやがて、悲しみ帯びた顔になった。


「君は今、彼を追うんだね。」


俯きながらそう呟くと少年はその場に倒れ伏した。
ギルは少年の元へ行き、名を呼んだ。


“「オズっ!」”


君はそうやって彼の名を呼ぶんだね…ギル。
でも、いつか…
君が私の名をちゃんと呼んでくれる日がくると信じているよ
私は、君の  なのだから
 

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