長編

□33話 真実
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【真柚side....】























「でね、総司が」

沖田さんから直接ではないが、驚きの告白を聞かされた私は、あの日からぼーっとすることが多くなった。

近くでは相変わらず、朝食の準備をしながら想世さんが、楽しそうに沖田さんとの話をしていた。

もう、毎回のことだから慣れたけど。

「できた!総司ー!」

想世さんはいつも、沖田さんの分のご飯しか持っていかない。

そんな彼女に呆れながら、私は他の幹部の人達のご飯を運ぶ。

「……………、」

それにしても、なんだか今日は足元がふらつくな……。

「お、今日も旨そうだな!」

「真柚、俺達も運ぶの手伝うぜ!」

部屋に行くと、永倉さんと平助君がご飯を一緒に運んでくれた。

「ありがとう………」

そんな私を遠巻きに見ていたのは、沖田さんと想世さんだった。

……手伝う気は、ないんだ…。

2人………いや、想世さんは私を見ながら、早くしろと目で訴えているのが分かった。

「………あっ、」

そんな目をするなら、手伝ってくれればいいのに。

思いながら私はご飯を置こうとしゃがみこむ。

「真柚っ!?」

その瞬間私は酷い目眩に襲われ、倒れ込んでしまった。


近くでは私が倒れた衝撃で、ガシャンと音をたてる食器、焦りを隠せない幹部の人達の声が耳に届いてきた。

「真柚ちゃ」

微かに沖田さんの声も。

「真柚!!」

しかし彼の声は、誰かが私を呼ぶ声によってかき消された。

「しっかりしろ!!」

誰なんだろう。

朦朧とする意識の中で私の目に入ってきたのは、綺麗に赤みがかった髪の毛の色だった。

「(左之さんだ…………)」

そうだと分かると私は、深い闇へと落ちていった。
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