ショート集

□恋ってやつ
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あいつを見てると動悸がする。目が合うと心臓が縮まる。触られたりなんかしたら心拍数が跳ね上がって今にも死にそうになる。

「俺は病気か」
「医者行けば?」
「何て言やぁいいんだよ、女を見てると胸が苦しくなるってか」
「ただの変態だと思われるな」
「まぁ、あいつ限定なんだけどな」
「いつからだよ」
「つい最近」
「重症そうだな」
「あぁ」

朝も昼も夜も、あいつのことばかり。頭から離れないしぐるぐるぐるぐる。駆け巡るあいつ。なんでだ、こんなの俺らしくねぇって。もしやあいつは魔女か。

「お前もやっと普通の人間らしくなれたんだな」
「どういう意味だ坂田コルァ」
「お前も人並みに恋とかするんだな」
「…恋?」
「恋だろ、」
「俺が?」
「そうだろ」
「誰に」
「あいつにだろ」
「まさか」

それはねぇだろ、そんなはずは。だってあいつはまぁ、顔は可愛い方だけど口は悪いしガサツだし品もねぇし胸もねぇし足癖も悪いし態度も悪いし…最悪じゃねぇかよ。

「そーかそーか、高杉がねぇ」
「待て坂田」
「あいつに言ってやろー」
「ぶっ飛ばすぞテメェ」
「あ、自分で言うか?」
「俺は認めねぇ!」
「急に大声出すなよ」

ふふふざけんなよ、ただ単にあいつが頭から離れなくてあいつ見てると胸が締め付けられて激しい動悸に襲われて、あいつに触りたいとか喋りたいとかあわよくば抱きたいとか…

「思うだけじゃねぇかよ!」
「うん、そうだな高杉」
「そうだぞ!それだけだ!」



それがだよ、鈍感くん。





(20091022)
悶々する高杉が書きたかっただけ

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