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□君がいなくなっても……
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「本田のお父さんの仕事の都合で、福岡に転校した。仲のよかったやつは………」
えっ………?
「何言ってるの先生……。そんなの嘘……だよね……?」
「……本田が……転校?」
「えっ?!嘘……。だってあたし未だ……。未だ………!!」
担任の先生から『吾郎が転校した』という話を受けて小森、沢村、清水の三人は、驚き茫然としているしかなかった。
これは夢ではないのか?そうであって欲しい。三人はそう思った。
次の日
「おはよ‥」
「あ、清水さんおはよう…?!」
「おう、清水ぅぅ……?!」
小森と沢村は清水の顔を見て驚いた。
「お、おい!大丈夫か?!目腫れてるし、隈できてっぞ!」
そう、清水の目腫れ、隈ができていたのだ。
「えっ?…あ、うん…。大丈夫、大丈夫‥」
「……もしかして昨日一晩中泣いていたんじゃ…?」
「そうなのか?!」
二人は心配そうに聞いてきた。この二人も吾郎の転校はショックだっただろう。そんな二人に迷惑はかけられない。清水は二人に心配掛けまいと明るく振る舞った。少し無理をして…‥。
「もう大丈夫だって‥!ほら、そろそろ席に着かないと先生が来るぞ」
「あ、あぁ……」
「うん‥‥」
二人は清水に促されるまま席に着いた。
「もう本田はいない……」
清水は隣を見た。今までならそこに吾郎がいていつも憎まれ口を叩いてきた。でも、今はもう清水の隣にはもう本田吾郎はいない。昨日まであった、持ち主のいない机は撤去されていた。
「本田ぁぁ………」
清水は学校にいる間中、小さな肩を震わせて泣いていた。これを見兼ねた沢村と小森だったが何もすることができず、ただずっと見ている事しか出来なかった。
授業も終わり放課後となった。
「清水さん一緒に帰ろうよっ!」
「えっ‥‥?あ、ごめん。あたしちょっと寄って行きたい所あるから先に帰ってて…」
「なんだよ、せっかく誘ってやってんのに」
「ごめんね……。じゃ!」
清水を元気づけたいという二人の願いも虚しく、清水は走って教室を出ていった。
「ちくしょう!!オレ達には何も出きねーのかよ……」
「沢村君……。ねぇ、こんな時に何だけどグラウンドで野球の練習しようよ!本田君が何時戻ってきてもいいように……!!もっともっと巧くならないと!」
「あ、ああ!そうだな!!」
二人は靴を履き換え、そのままグラウンドへと向かった。
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