歩調を合わせて

□たなばたそうめん
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「今日は七夕だから、素麺だ!」

作るのはおろか、手伝いのひとつもしていない秋が、何故か胸を張って宣言した。
七夕だから、と招待されたのは嬉しいが、どうしてメニューが素麺と決まっているのだろう。
別に素麺に不満があるわけではないのだけど、正月には御節!と同じくらいの勢いを感じて、私は内心、首を傾げながら席に着いた。

「あの、師匠?」
「はいな」
「どうして七夕だと、お素麺なんですか?」

リベザルが、私の疑問を代弁してくれたので、気になって思わず身を乗り出す。

「知りたい?」
「はい」
「今?」
「え…で、出来れば」
「今話して良いのか?ホントに?」
「う…」

秋がリベザルに顔を近付けると、その分だけリベザルが後ろに下がる。
今にも椅子からズリ落ちそうなところまで行ったとき、ふいに座木がリベザルの背中を支えた。

「では、食後にお願いします」
「ザギには聞いてないぞ」
「しょ、食後にお願いしますっ!」

慌てて座木の台詞を復唱したリベザルを見て、秋がちら、と私に視線を送る。

「私も食後でお願いします!」
「りょーかい」

くしゃり、と自分の前髪をかき上げて、秋が何事もなかったかのように笑う。

「では、美味しい素麺を頂くとするか」

思わず顔を見合わせた私とリベザルは、食事の間中、そわそわしっぱなしだった。
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