歩調を合わせて

□waiting fou you:after
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「なぁ、お前、深山木と知り合いだったのか?」

すとん、と隣に座った虎徹が、覗き込むように聞いてきた。
さっき、まさかの再会を喜んでいたところを見ていたんだろう。

「うん。直也のストバスに来るんだもん。上手いんだよ、秋くん」
「あぁ、そうらしいな」

言葉とは裏腹に、む、と眉を寄せる。

「何?秋くんのこと、苦手なの?」
「そんなんじゃねーけど…お前はどうなんだよ」
「私?んー、そうだなぁ」

どうって言われても。
バスケが上手いことと、直也と仲が良いことくらいしか知らないし。
あ、可愛い顔してるけど、私たちより年上だって話は聞いたっけ。

「美人さんで羨ましいよね」
「…は?」

きょとん、とされても困ってしまう。
金に染めた髪をがしがし、とかき回している様子を眺めていたら、ふいに背後から誰かに、ふわりと抱き付かれた。

「わ」
「あ、こら深山木てめ!」
「え、秋くん?」

頭の上に顎を乗せられているので、顔が確認できない。
うぅ、と顔を上げると、同じペースで顔を下げてくれて、目が合った。
にこ、と笑うと耳元に顔を寄せてきて、小声で話す。

「この人はさ、ぽっと出の僕に横から掻っ攫われるんじゃないかって心配してるんだよ」

秋くんの声に混じって、息が頬にかかる。
間近で見ても、彼はやっぱり整った顔をしていた。
…いや、そんなことより、今の台詞には主語がない。

「かっさらうって、何を?」
「深山木ッ!妙なこと吹き込むんじゃねぇ!」
「はい、すとーっぷ」

吼える虎徹と、悪戯っぽく笑う秋くんの間に、すぱん、と手刀が降ろされた。

「ケンカもじゃれ合いも、女の子を巻き込まないで頂戴ね」
「邪魔すんな、高橋っ」
「はいはい。邪魔はしないであげるから、向こうでやって〜」

ぱたぱたと追い払うように手を振る総和を見て、秋くんが不満そうに口を尖らせる。

「別に僕、こんな人と一緒になんかいたくないです」
「あら虎徹ったら、嫌われちゃったの?」
「俺だって別に、好きじゃねぇ」
「じゃあ両想いだ、良かったね」

秋くんの言葉に、ふい、と目を逸らす虎徹を見て、総和がキャハハ、と声を上げた。

「やだ、秋ちゃんたら上手いこと言うわね。でも普通、その言葉は良い意味で使うわよね〜」
「嫌い同士でも、当人達にとっては良いコトなのかもよ?嫌いな人に嫌われてれば、関わり減るだろうし」

大人しく場所を移動する2人を見送りながら、何気なく口を挟むと、総和が困ったように私の髪を撫でる。
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