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□なにぬねので5題
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***入道雲を見上げて***
「あの雲、美味しそうだねぇ。ソフトクリームか、綿飴みたい」
「お腹空いてるの?」
「でも入道雲って、雨雲なんだっけ?雨降るのかな」
「あんだけ遠けりゃ大丈夫だろ」
「空が青くて、雲が白くて、夏!って感じだよね」
「…楽しそうだね」
どこか不満気な口調に、ようやく首をそちらに向けると、入れ替わるように秋がぷい、とそっぽを向いた。
「…秋、どしたの」
「なーんでも」
「拗ねてんの?」
「何でさ」
つん、と視線を合わせない様子が、何だか子どもっぽくて、思わず笑ってしまった。
「秋ってば、可愛いねぇ」
「それ、褒めてないでしょ」
あの空の雲にさえ、妬いてくれたりしちゃったの?なんて。
自分の考えに笑いが止まらなくなったことは、彼には内緒。
Fin.20080515-16
title from:液体窒素と赤い花