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□なにぬねので5題
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***望みはひとつじゃないの***
「さーさーのーはーさーらさら〜♪」
「ご機嫌だね」
「あ、これ秋の分、はい」
「短冊?」
「うん。リベザルと座木にも渡したから、それ全部秋が使っていーよ」
「こんなに沢山、いらないよ」
「いやぁ、だってお願い事が沢山あって選べないと困るじゃない」
「二兎を追うものは一兎も得ずって言葉、知ってる?」
「大は小を兼ねるんだよ?」
「それ、意味が違うから」
秋に言われたくないし、と私がそっぽを向いている隙に、彼はさらさらと1枚の短冊を仕上げた。
そっと覗き見ると、何故か偉そうに胸を張って、一言。
「ひとつでも多くの願いが叶いますように、ってね」
…あぁ、私は。
秋の字が綺麗になりますように、ってお願いも追加しなきゃ。
Fin.20080515-16
title from:液体窒素と赤い花