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□まみむめもで5題
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長かった試験も終わって、ようやく休めると思ったら、打ち上げに誘われた。
迷っている間に参加を決定されて、じゃあ行こうかと集まっていると、ふらりと秋が現れた。
「あ、秋。これから飲みだけど、一緒に行く?」
「ダメだよ。今日は僕とデートの約束でしょ」
「…はぃ?」
試験のしんどさに、とうとう頭が沸いたか、と思いかけて彼が学生ではないことを思い出す。
「寝言は寝てても許さないよ?」
「誰が寝ながら外歩いてるんだよ。夢遊病?」
「あんただよ、秋」
「じゃあ、そういうことだから連れてくね」
私を無視して、さらりと周囲に宣言した。
試験で全然構ってくれなかったんだもん。などと可愛らしく言うものだから、呆気に取られていた友人たちも、あっさりと私を秋に受け渡す。
「ちぇ、友達甲斐がない奴らだ」
「何言ってんの。熱い友情だったじゃないか」
「あぁいうの、誤解されると面倒だから止めてくんない?」
「体調悪いときは、無理しないの」
「…別に、何ともないし」
「あのさ、僕の職業、忘れてるわけじゃないよね?」
***まさか気付いてないと思ってたの?***
ひょい、と伸ばされた手が額に触れて、その冷たさが、ひどく心地良かった。
Fin.20080526/with AKI
医者じゃなくて、薬屋、でしょ?
title from:液体窒素と赤い花