short dream
□確認
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『雨ですね』
「そうだな」
『何で降ってるの?』
「6月だからだろ」
『何で今日なの?』
「俺に聞くな」
うめき声を出しながらテーブルに突っ伏す頭が一つ。
長々とうめく声はまるで、どれくらい声を出せれるのか試しているようにも聞こえる。
『確かに曇ってるな、とか思ったけど。確かに来週から梅雨らしいけど』
何でよりによって今日。
せっかく久しぶりに2人で出掛けようと思ったのに。
隠すこともせずに雨に悪態を吐いた。しかし当然の事ながら、雨は我関せずといったように弱まる様子もない。
『雨の馬鹿やろう〜〜』
再度うめくと、頭部に温かくて大きな手が置かれた。
次いで二、三度軽い反復運動がされる。あくまでそれは、とても優しい動作。
「そんなにむくれるな。一生行けなくなるわけじゃねぇんだ」
『うー…黒は行きたくなかったの?』
「さぁな」
含み笑いの声。その曖昧な答えにまたか、と、うなだれていると後頭部に隣に座っている人の唇が当てられた。
吐息が直に当たってくすぐったい。
「俺はお前といられるんならどこでもいからな」
そっと囁かれた言葉に熱を感じたが、あたしもだよ、と微笑んだ。
(偶にはいつもと違うのが少し良いなって思っただけだから)
→あとがき