トリップ少女の受難
□さよなら、僕の世界
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少し離れた所から視線を感じる。あいつか。
誰が興味ないって?
誰が騒がないって?
お前らの眼は節穴か。
「……馬鹿みたい」
「ん?」
「なにも。眠いから静かにしてよ」
「やっぱり眠いんじゃねーかよっ!!!」
周りで笑い声がする。
そこの眼鏡。お前の大好きなお姫様が見ているよ。
あの視線に気付かないなんて、まだまだだね。
はははっ
ピッタリでしょ?
この台詞。
この世界の主人公のキメゼリフ。何時かはあいつとも出会うんだろうか?
そんな出会い、のし付けて帰してやる。
授業中、窓を見ながら何故この世界に来たのか考える。勉強なんかする気も起きないからね。
ふと黒板を見れば、あっちと同じような授業内容。せめてあっちと全然違う世界なら、諦めもつくのに。
似過ぎているこの世界にいると、どうしても思い出してしまう。
「どないしたん?」
斜め前に座っている伊達眼鏡男が話し掛けてきた。
話し掛けてくるな。ちゃんと授業を受けろよ。
「…別に…」
「冷たいなぁ」
仲良くするつもりなんて毛頭ないが、僕の席は窓側の1番後ろという特等席。伊達眼鏡男はその斜め前の席だから、黒板を見る為にはどうしても視界に入る。
ああいやだ、こんな席。
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