トリップ少女の受難
□さよなら、僕の世界
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「お前ってさ、侑士の事嫌いなわけ?」
「……………別に」
「その間はなんやねん」
嫌い?
伊達眼鏡男本人が嫌いというより、この世界そのものが嫌いなんだ。伊達眼鏡男が僕に直接何かした訳ではないが、この世界の光輝く住人には違いないので、これは嫌いの部類に入るのか?
「なんで俺の事嫌いなん?」
「嫌いじゃない。ただ…」
「ただ?」
「安眠妨害はやめてくれ」
「なんやねんそれ」
本当の事など言える筈もなく、適当な事を言って流す。あんまり喋ると先生に見つかる為、僕は机に伏せた。
昼休みは誰も来ない場所を見つけてご飯を食べる。
今朝買ってきたコンビニのパンとおにぎり。
僕が住んでいるマンションには僕以外の住人はいない。どうやら海外赴任しているらしく、時折家政婦さんが来て掃除等をしていってくれる。この世界の僕の両親はお金持ちのようだ。
僕からしてみれば、両親だと言われても他人でしかないので、一緒に住んでいない方が有り難い。
味気ないパンを口に運び、携帯電話を開けば、見に覚えのないアドレスからメールが来ていた。
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