トリップ少女の受難
□さよなら、僕の世界
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「おはよー」
「………おはよう」
「相変わらず寝ぼけた顔してんなぁ」
「………生れつきだよ」
ゲラゲラと笑う隣の席の男子。てか会って三日目で馴れ馴れしくないか?
ま、こいつにとったら僕は三年間同じクラスメイトらしいけど。
そんな記憶
僕にはないけどね。
あ、
別に記憶喪失じゃないよ。本当にないだけ。
僕の三年間はこの学校ではなく、別の学校で過ごした記憶がある。
いや、
正しくは
『別の世界』かな。
僕はこの世界の人間じゃない。漫画とかである異世界から来たんだ。別に来たくて来た訳じゃないけど。
ほら、よくあるでしょ?
《トリップ》
実際自分がなるとは思わなかったけどさ。目を開けたらそこは別世界だったって訳。ははっ、映画かよ。
初日は発狂。
二日目は泣き崩れ。
三日目は諦めた。
どんなに泣き叫んでも、この世界からは抜け出せず、僕はこの世界で生きていくしかないんだと知った。
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