トリップ少女の受難

□さよなら、僕の世界
1ページ/9ページ






「おはよー」

「………おはよう」

「相変わらず寝ぼけた顔してんなぁ」

「………生れつきだよ」



ゲラゲラと笑う隣の席の男子。てか会って三日目で馴れ馴れしくないか?

ま、こいつにとったら僕は三年間同じクラスメイトらしいけど。



そんな記憶



僕にはないけどね。






あ、
別に記憶喪失じゃないよ。本当にないだけ。
僕の三年間はこの学校ではなく、別の学校で過ごした記憶がある。

いや、
正しくは
『別の世界』かな。






僕はこの世界の人間じゃない。漫画とかである異世界から来たんだ。別に来たくて来た訳じゃないけど。

ほら、よくあるでしょ?


《トリップ》


実際自分がなるとは思わなかったけどさ。目を開けたらそこは別世界だったって訳。ははっ、映画かよ。


初日は発狂。
二日目は泣き崩れ。
三日目は諦めた。


どんなに泣き叫んでも、この世界からは抜け出せず、僕はこの世界で生きていくしかないんだと知った。





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ