トリップ少女の受難

□この世界に来た理由
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「いい加減やらねぇか」

「私はしたくないんです」  


お〜い。
主語が抜けてると卑猥だぞ。しかしなんでこいつが此処にいるんだ?
朝から騒がしくって仕方ないじゃないか。



「ねぇ景吾。二宮さんも嫌がってるし、あんまり無理に誘っちゃ悪いよ」

「伽奈…お前一人ばかりマネージャーの仕事を押し付ける訳にはいかねぇ」

「景吾……私の為に…」

「当然だろうが」



なんだこの甘ったるい雰囲気。見たくもないラブシーン程冷めるものはないな。  
登校早々、僕の席付近で騒がしくしている三人組。彼女に気配りできるなら、少しは僕の為に消え失せてくれ。



「お、ようっ!!今日はギリギリだったな」

「ん、最近寝付き悪いからね」

「なんだよ、なんか悩み事か?相談にのるぜ?」



少し遅めに登校してきた僕を笑顔で挨拶してくる隣の席の奴。
お前に相談してもな〜


僕を元の世界に帰して


なんて言ったら、即病院に連れて行かれそうだ。
周りからは痛い子として見られるだろう。それは嫌だ。



「何もないよ」

「なんだよ〜俺じゃ頼りにならないのか?」

「じゃあ前で騒いでる奴らなんとかして」

「あ、それは無理」

「…………頼りねー」



速答するなよ。
今だ三流ドラマのような馬鹿馬鹿しいやり取りをしている連中を冷ややかな目で見つめ、僕は早く先生が来ないかと願っていた。




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