青空少年。
□T
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部室に戻り帰り支度をして帰ろうとした時に、テニス部の部室の近くでラケットが一本転がっている。
たくっ
道具ぐらい片付けろっての。これがサッカー部だったら佐瀬古(サッカー部の部長)に殺されるぞ。
取り敢えず邪魔にならないよう壁に立てておこうとラケットを握った時、妙にしっくりきた。
「???」
不思議に思いつつ立つ掛けようとしたら、今度は花壇にテニスボールがあった。
おーい。
お前らいい加減すぎ。
ボールを手にしたらこれまたしっくりくる。何となくラケットの上でボールを弾ませていると、
ポーン、ポーン
とボールの弾む音がなんか心地好い。試しに壁に向かってボールを打ってみたらモロ顔面に返ってきた。
ち、近すぎたか…
少し放れてボールを打てばまたラケットを通り過ぎて花壇へ。俺下手くそだな。懲りずに何回か打っていると、ボールを外すことなくラリーが続く。
「ははっ…」
続けば続く程面白い。
自分が思った所にボールが当たるとめちゃ嬉しい。
俺スゲーっ!!ってマジ思う。
だから調子にのって
「まだ甘い」
てな事を言ってみた。
俺天才っぽくねー?
「な〜んてな」
サッカーをした後のバテた身体のはずなのに、この時の俺は妙に身体が軽かった。そのせいか、調子に乗って打ちまくっていたのを
あいつが見ていたなんて気付きもしなかったんだ。
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