青空少年。
□T
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Side ??
「………ん?」
部活が終わり校門を出た後、忘れ物をした事に気付き部室へと戻った。部室へ近付くとボールを打つ音が響く。
誰だ?
レギュラー全員は帰った筈、ならば他の部員か?
何となくその音がする方へと足を向けると
「よっ、はっ、」
なんとも楽しそうにボールを打っている生徒がいた。見覚えのないそいつはテニス部員ではないが、その腕に俺は目を見開いた。
壁の染みに絶妙なコントロールで打つ奴は、疲れも見せずひたすら打ち続ける。同じ場所ではなく、何点かある染みに確実に当てている。(偶然)
レギュラーならわかるが、テニス部員でもない奴が何故そこまで出来るのか…目の前で起きている事が信じられないでいた。
「まだ甘い」
なっ…甘いっ!?
まだ甘いだと!?あの絶妙のコントロールが甘いと言うのかっ!!!?
何故こんな奴がテニス部にいない!?奴なら確実にレギュラーを狙えるだろう。
奴の言葉に度肝を抜かれていると、満足したのか奴はテニスを止めラケットを見つめていた。
???
どうしたんだ?
何故そんな悲しそうに見つめている?
「…ありがとな、俺なんかに付き合ってくれて」
そう言って奴はラケットを壁に立て掛けこの場から去って行った。そのラケットを手にした俺は愕然する事になる。
ラケットにはテニス部の一年名前が書かれていた。
これは奴のラケットではなかったのか!!!?
なら奴は、不慣れなラケットであのコントロールを!?いったい奴は何者なんだ!?
全校生徒の顔と名前を覚えている俺が、奴の名前処か顔も知らなかった。
転校生などという情報は入って来ていない。
俺は奴に興味を持った。
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