短編集
□その意味
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「…ラムザ、いい加減に休んだらどうだ?火の番なら私がする。お前も少し眠れ。」
バチバチと木が乾燥してはぜる。
時刻はもう夜中。
ムスタディオやラファ…他のみんなはもう寝たとばかり思っていたので、不意に聞こえてきたアグリアスさんの声に僕は少し驚いた。
「…いいえ、アグリアスさんこそ休んで下さい。僕なら、大丈夫ですから。」
そう彼女に少し笑いながら言えば、彼女も少し困ったように笑って…
「…そうか。」
僕の隣にゆっくりと腰掛けた。
春になったとはいえ、やっぱり夜になれば風は冷たくなる。
そんな少し冷たい乾いた風は炎を揺らめかせて…そんなゆらゆらと揺れる炎の光は、彼女の細い金色の髪に反射をして、キラキラと煌めいていた。
「…妹の事か?」
「えっ?」
「…考え事を、していたのだろう?」
彼女は火を見つめたまま、そう僕に問い掛ける。
そんな彼女に僕は…
「…それもあるんですけど、ね。」
そう答えるのが、精一杯だった。
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