オヤジ

□爆走ランデブー 〜出会い〜
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暗闇から朝に変わる瞬間が好きだ…
紫の道路をあてもなくバイクで疾走するのが好きだ…

グチグチとうるせぇ大人は嫌い
香水をバンバン付けてクセェ女も媚びるだけの女も嫌い。

この世界には、嫌いな物が多くて好きなものは少ない…

「…てか、いつまで俺の後ろついて来る訳?いい加減キれるよ?」

立ち止まり低い声で後ろにいるであろう人物に話す。

「……気づいてやがったのか。」
「まぁな…。」

「てか、誰なわけ?俺にお前みたいな知り合い居ねぇけど?」

後ろを振り返り、嘲笑する。
男は、顔を赤くさせ怒りに震えている。その様は滑稽であった。

「ふざけんじゃね!?てめぇ、オレの女に手出しやがっただろ!?」
「あ?………あぁ〜、あのバカ女ね。なにお前あの女の男なわけ?」
「なっ…!?襠田ー!」
「騒ぐなよ……。ウゼェ。」

襠田と呼ばれた男は、金髪を振り乱し襲いかかってくる男の顔面を殴る。

「ぐあっ。」
男は腹を押さえ、酸素を求め口をパクパクしている。

「はっ…弱いくせに俺に殴りかかってきた事は拍手モンだぜ?息してるだけでも感謝しろ。」
「ぐっ…くっそがぁ。」
「だからウゼe「…何してる?」
「あ?誰だおっさん。」

いつまでもウルサい小物にトドメを刺そうと拳を振り上げた瞬間、声がした。
嗄(しわが)れた声だが凛としていて心に染み込んでくる。

「君…大丈夫かい?」

おっさんは、俺の横を通り過ぎ地に平(ひれ)伏している小物に話しかける。

ただ…

ただそれだけなのに無性に腹が立って仕方ない…

「おっさん…。そいつに構うな。」
「しかしだな…。この子は怪我をしている…「そんなこと気にすんじゃねぇよ。そいつの怪我は必然だ。」

襠田は冷たく言い放つと踵(きびす)を返し帰路につく。

むかつく…無性に腹が立つ。
今までにない感情が体を疾風のごとく駆け回る。

また逢いたい…

また話したい…


また会えるかなんて分からないのに…。
そんな事を心に抱いた。

初めて会ったおっさんに俺は見事に落ちた。
名前を聞き忘れたことを後悔しつつ俺は、夜道を帰って行った。


その時はまだ自分とおっさんが恋人になるなんて思っても居なかった───



もしも、

あなたが

泣いているならバイクをかっ飛ばしてあなたの元へ

もしも、

あなたが

俺のそばに居てくれるなら

俺は、俺の命に代えてもあなたを守る。

だから…

もう一度だけあなたに逢いたい…────



そう思うのは我が儘ですか?





end

うん…まぁ出会い編完結☆
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