□女性解放論者
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女性解放論者=フェミニスト

この言葉に該当する人物をオレはひとり知っている。
仕事でヘマして、折角の官僚の椅子を棒に振ったバカな男
そのくせ、女房にも逃げられて
ほんと…爪先から頭のテッペンまで幸の薄い野郎だ
でも、妙に義理堅くて女に弱い
優しい優しい笑みを浮かぶて、手を差し伸べる

まさにフェミニストの鏡だぜ…、長谷川泰三。




女性解放論者



「だからぁ…、さっきから説明してるでしょ?話聞いてる?」
「ちゃんと、聞いてまさぁ…。このボケガキがあんたに、道聞くふりしてちょっかい出したんでしょ?」


不機嫌な声で詰め寄る長谷川、
それを無表情で見る沖田
その間に挟まれな哀れな少年

さっきから、約2時間ほど繰り返されている話の噛み合わない会話
はぁ…、と諦めを含んだため息を吐いて憎らしいくらいに真っ青な空を仰いだ

「だ、だから!僕はただこの人に道を聞いただけです!」
ひぃい、と言いながら懸命に説明を繰り返す少年を不憫に思う
だが、目の前に居る瞳孔開きっぱなしの沖田くん相手では睨まれたら怯むだろう

(あぁ…、俺のせいで可哀想に…)

そう思いながらも助け舟のひとつも出せない俺…
に、逃げちゃダメだ!長谷川泰三!勇気を出すんだ!

「おおお沖田くん!も、もう良いじゃないか!彼も(何もしてないけど)反省してる事だし許してあげなよ。ね?」

やっと出た言葉は、緊張しすぎて上擦った声になってしまった

「…………チッ、やっぱりアンタはフェミニストでさぁ。」

(フェミニスト?)

俺は沖田くんの言った言葉に首を傾げた
確か、女性に優しい人を差していた筈……
よく言えば紳士、悪く言えば優柔不断

「俺はフェミニストなの?」
「違うんですかい?」

疑問を疑問で返されてしまった…
男が女性に対して優しく接するのは当たり前では無いのだろうか…?
もしかすると、それは古臭い考えだったりするんだろうか?

うーんうーんと唸りながら考える
しかし、考えれば考えるほど分からなくなってしまった

「…あんたは甘ちゃんなんだよ。人に優しすぎる、特に女に。だから、女房に逃げられるんでさぁ…、マダオの癖に。」

ぼそりと、そう残し、去っていく彼の背中をただ見つめていた

最後の一言は気に入らないが、甘ちゃんなのは自覚している…
人に優しすぎる、それも幕府に勤めていた頃に部下に言われたことがある
…女房に逃げられたのは仕方ないが、この性格は個人的に好きだ
だから、性格を直す気はない

そう言えば、どうやら俺は沖田くんを怒らせたようだ。
理由は不明だが、怒らせてしまった

「…謝ろうかな。」

そう小さく行って、彼が去って行った方へ走っていった































(沖田くんっ!さっきはごめんね?)(……だったらゴリゴリくん奢ってくだせぇ)






end

まだ無自覚な沖田でした^^

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