□逃げれない (逃がさない)
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頭がボォーとして、何も考えられない
自分の四肢はだらんと力を無くしたように床に垂れている
焦点の定まらない目をゆっくりと動かせば垂れている手足には重く冷たい枷が填められている
枷からは鎖が繋がれており動くとジャラジャラと音を立てた

起きる気力も無く、ただただ座敷牢に引かれた真っ赤な布団の上に寝そべるだけ

今はいつで何時なのかすら分からない

すると、鉄が何枚も重なって出来た重く錆び付いた扉が、ギィイと音を立てながら開いた

そして、鼻孔をくすぐる匂いがした
甘いようなそんな匂いだ

「よぉ…、泰三…起きてんだろ?」

牢の扉を開き、入ってきた人物は未だ寝そべったままの俺の目線に合わせるようにしゃがんだ

「た、か…すぎ?」

声も弱々しくなり、元々、痩せ形であった体は肉体的にも精神的にも疲労がたまり更に痩せていった

「…また、痩せたか?」

高杉は、優しくそう言うと腕や腹を触る
反射的に、びくりと体を震わせると、高杉は妖艶に笑いこう言うのだ

「俺が怖いか?でも、痛くされて感じてる淫乱野郎は誰だ?」

あくまで、優しげに
笑顔を貼り付けて

カタカタと震えながら耐える
耐えて耐えて、高杉が飽きるのをひたすら待つ

だが、今日はそうは行かなかった


「答えないのか?なら仕方ないな…体に聞くか。」

そう言うや否や、するりと気休め程度の布切れを退けた







くちゅ、ぐちゅ







「んひゃぁ!あ、やっ、」

慣らされ、開発された身体は弱い快感に反応してしまう

視界がチカチカする
熱い…苦しい

「あぁ…痛くしないとイケないんだったか?」
「ぐひっぁああ!やめ゙でぇえ!んひぃ!」

急に強い力で握られた
目の前がスパークする

痛いのに気持ちいい
もっと

もっとして欲しい





嗚呼…頭に霞がかかる


「あ゙あ゛あぁあ!た、か、杉ぃ!もっど!もっどじでぇえ!ひゃぁんっあん!」
「くく…。お前は最高だ…泰三。なんど抱いても飽きない…。」




ぐちゃぐちゃ


卑猥な水音と肉と肉が打ち付け合う乾いた音が響く

「んあ゛!イィ!もっとぉ!んひゃぁああ!」

自分が自分ではない

鎖も枷も、この牢でさえ逃げようと思えば逃げられる

でも、逃げない

高杉は怖い

でも、時折見せる優しげな微笑みに心奪われた

どんなに罪なことだろうとも、高杉と一緒にいたい

どんなに酷い仕打ちをされようが構わないから





「なにを…考えてやがる。」

行為が終わり、高杉の腕に囲われるように抱きしめられながら熱を冷ましていると
高杉が静かに言った

すりっと甘えるように、肩に頭を擦り付けながら「高杉のことだよ…?」と本当のことを言ってみる

「…嘘だ。」

腕の力が強まった

何かを耐えるように、苦しげな顔の高杉

「…………ごめん。」


今にも泣きそうな顔をした長谷川

謝罪をするのはお前ではないのに
むしろ俺の方なのに

でも、泣きそうな顔も、淫らに悶える顔も愛おしいから

離さないし逃がしてやらない




死ぬまで一生





end



これは…鬼畜なのか?

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