□無自覚に男前な彼
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今現在、俺を悩ませているのは無自覚に男前な彼だ…。

彼との出会いは、彼の上司であり俺の(何気に)親友の坂田銀時をお迎えと言う名の強制送還をしに俺の家に来たときである。

あの時の銀さんは、酔いに酔って泥酔していた。
迎えに来た彼こと志村新八くんに纏わりついたり俺に酒臭い息を吐いてきたり…
そりゃもう大変で…。

そんな銀さんを、万屋まで連れて行かなきゃならない新八くんが不憫だったもんだからつい、大変だね?って言った。

そしたら、「普段は、ぐーたらでどうしようも無い人ですけど…やる時はやってくれるカッコイい人なんですよ。」だってさ。

なんて心の広い子なんだろうか…。
銀さんには、勿体ないくらいだ。

そして極めつけに
「それに、長谷川さんが困るとおもって。」

まだ少年の面影を残したままの男気溢れる笑顔を浮かべる。
たぶん、俺はこれで堕ちた。

それじゃぁ。と銀さんをおぶったまま、ペコリと小さくお辞儀をし新八くんは歩いていった。

それから数週間…。
俺は新八くんの事が頭から離れなくなった。
例えば、新八くんの好きな食べ物ってなんだろう?とか何か差し入れしたら喜んでくれるかな?とか好きな人は居るかな?とか色々。

会えたら、一日中嬉しくて
会えなかったら、悲しくて

自分がまるで乙女みたいだと笑ってしまうくらい、好きになってしまった。

顔を真っ赤にさせて
ドキドキしながら世間話を少々

「長谷川さん、こんにちは。」

「う、うん。こんにちは。」

あぁ!鼓動が聞こえてしまいそうだ。

「今日は、バイトの面接はないんですね。」

「え?な、なんで知って…。」

「長谷川さんの事なら何でも知ってますよ。」

ほらまた、無自覚に俺を胸きゅんさせる。
これじゃぁ心臓がいくつあっても足りない。

「なんて言うのは嘘で、長谷川さんの身なりですよ。面接がある日はスーツでしょう?」

ちゃんと見ていてくれていたのが嬉しくて、飛び上がりそうになった。
でも心拍数は上昇中。

「う、うん。今日はただの散歩。」

「そうなんですか。僕は、姉上にお使い頼まれちゃって。」

あ、これはチャンスって奴かも知れない。

「た、大変そうだから手伝うよ。」

「え!悪いですよ!散歩の途中なのに。」

「へ、平気だから!」

多少、無理やりだけどお手伝いする事にした。

「で…、何買うの?」

「えっとですね…。砂糖にスパイス、可愛いもの多種、あとはメ◯ィ◯ルX…。」

「あの…、お妙さんはパ◯ーパ◯ガー◯ズでも作る気なの?」

某子供向けアニメの正義の味方を作り出しちゃいそうな材料を聞かされ、笑ってしまった。

姉弟二人きりの家族。
本当に仲がよくて、笑いが絶えない。

好きな人とその家族の人が笑顔なのは喜ばしいことだ。

うんうん。と自己完結を終え、今はお使いに専念しよう。

たとえわずかでも、一緒に居たいから。



そしてまた、無自覚に男前な彼に悩まされよう。




end

乙女な長谷川さんが見たかっただけ←

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