銀
□愛≒恐怖
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愛情?ンな物は名も顔も忘れた母親の腹ン中に捨ててきた。
愛も恐怖も根本は同じ
────相手を縛る術。
愛≒恐怖
愛なんて、そんな甘っちょろい物は俺にもお前にもいらない。
愛では無く恐怖でお前のすべてを縛る。
生死ですら俺の気分次第で決まる。
お前の恐怖の顔が俺を高揚させる。
もっともっと泣けばいい。
もっともっと俺を恐怖し骨の髄まで俺を刻み込めばいい。
「晋助、お主…ずいぶんと楽しそうでござるな。」
「あぁ…?なんの事だ?」
「お主の音楽が変わっているでござる。これは…まるで。」
「¨まるで¨なんだ───。」
「そう…まるでラブソングでござるな。」
「ラブソング…?───はっ…ンな訳あるか。」
呆れた様に眼前の高杉を見る。
(いやはや…無自覚でござったか。)
やれやれと言った様子で万斉は立ち上がり
「ジャイアニズムも程々にせねば逃げられてしまうでござるよ?」
そう言ってその場を後にした。
万斉の野郎…おかしな事をぬかしやがる。
俺が恋だと?アイツに?
そんな事は、たとえ天地が逆さになろうが釈迦が現れようが有り得ない。
「そうだ…ありえねぇ。」
ひやりとする夜風を受け、ぼんやりと浮かぶ半月を見上げながら小さく呟いた。