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□『oen side』
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「わぁぁ、やっぱり格好いい…」


 貧乏学生キラ・ヤマトは、その日もショウウィンドウにへばりついて、それを見ていた。

 モノトーンの色使いながら単調に見せないデザインは、自分には大人っぽ過ぎるかな?と思いつつ、やっぱり惹かれてしまう。

 人気ブランド『Zara』。20代をターゲットにして、カジュアルなモノから軽くフォーマルに対応できるものまで扱っている。小物も充実しているから、プレゼントを求める女性客も多い。

 店舗数はまだそれ程多くないものの、彼氏に着て欲しいブランドベスト5に入る程に人気がある。

 けれど人気の理由はそれだけしゃない。デザイナーがまだ20歳になったばかりの青年で、時々TV等にも取材されているけれど、芸能人に勝るとも劣らない容姿に女性達を虜にしていた。

 でも、そんなこと、キラには全く関係無かった。重要なのは。

「ううぅぅ…いいなぁ、でもゼロの数がねぇ…僕には、ちょっとなぁぁ」

 ウィンドウに飾られているのは、濃いグレーの薄手のジャケットとパンツ。くすんだ白のシャツに黒い牛皮のスニーカーと。
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