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□『遥か遠く、彼方の-キラBD編』
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『アスランの馬鹿!!』


 そう叫んだ恋人は、べぇっと舌まで出して走り去った。

 お前は、いったい幾つの子供だ―――…と、唖然と見送ってしまったのが悪かった。

 明日は国をあげて、その生誕を祝うはずだったのに、肝心の当人は失踪して。

 恋人の2つ年上の兄、次期国王である世継ぎの王子カガリは、事の成り行きに呆れ過ぎたのか、報告したアスランをポカンと見返した。

 件の恋人も王子だけれど気ままな二番目。国では2番手の実力を持つ魔法使いでもあるから、少しくらいほおっておいても大事ないだろう…と、探索は後回し。

 ―――国王と王妃ですら、『またか』とただ苦笑するだけだった。






 翌日の誕生祭は二人の王子を祝うもの。彼らは奇しくも同じ日に生を受けた。

 毎年行われるそれには二人の王子が揃って出席するのが恒例だったけれど、今年は兄王子のみだけだ。

 盛大に祝われるその席に、弟王子の姿は無い。その理由は風邪の為、大事を取り欠席―――と出席者には伝えられた。
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