†メルマガBN†
□『境界線』
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「うわあああん」
盛大な泣き声が、部屋に響き渡る。
「ほら」
そう言って俺は、ベッドに顔を埋めて泣き崩れる親友に、ティッシュを箱ごと手渡した。
「ありがとッぅ」
返事をしながらも、うつ伏せたまま、腕だけを伸ばしてそれを受け取った親友は、何枚かそれを引き抜いてシーツの代わりに涙を吸わせる。
「う、う、うう…えっ、ひっく」
「キラ」
名前を呼んで頭を撫でてやっても、親友は――キラは一向に泣き止む気配も無い。
この親友は、恋多き奴だ。物凄く惚れっぽい。その上、アイドルみたいに可愛いとか言われて、よくモテるのだ。
けれど趣味は悪い。ロクな相手に惚れてくれない。
わりと面食いでもあって、見た目に騙され安い。
だから結果はいつも同じ。フラレて、そのたびにこうして俺のところに泣きに来る。
「ごめんね、ありがと…アスラン」
いくらか落ち着いて漸く顔を上げたキラは、最後に鼻をかんでティッシュの箱を俺に返して来る。