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□『僕達の事情-小さい頃編』
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それは何と言ったらいいのか、晴天のへきれき…というか。
キラがケンカした女の子を突き飛ばして泣かせた。
それは放課後間近の、掃除の時間の出来事だった。
周りの話によると、先にケンカをふっかけたのは、女の子の方らしいけれど。
教師がどんなに問いただしても、その理由をキラが口にすることは無かった。
「どうしたんだよ?」
教師から解放されたキラは、すっかりうつ向いてトボトボ歩いていた。
そこを捕まえて問うと、それまで我慢していたのだろうキュッと噛み締めていた唇を解いて見上げた。
「あすら…ん…」
舌ったらずに言葉にした名前に誘発されるみたいに、みるみる大きな紫の瞳は潤み始めて。
「キラ、こっちおいで?」
理由も無くキラが女の子に乱暴するわけないのは、知ってるから。
大丈夫だよと微笑んで、キラの手を引いて放課後は殆ど人のいない図書室に連れて行った。
戸を開けると、案の定誰もいなくて、中はしんと静まり帰っていた。
「鍵、閉めちゃおうか?そしたらさ、誰も入って来れないから、内緒話にはうってつけだと思わない?」