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□『メリクリ/出会い編』
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ずっと空き家だったそこに引越しのトラックが停まっていたのは、満開の桜が咲く穏やかな季節だった。

学校から帰って来ると、そこの新しい住人らしい人達が慌ただしく荷物を運んでいる。
その中に自分の母の姿があって、驚いた。

「あら、アスラン」

気づいた母が、ニコニコ近づいて来て。

「母さんの友達が越して来たのよ。挨拶なさい」

手を引かれ。見たこと無い男の人と女の人の所に連れられる。

「あっ……」

ボクに気づいた同い年くらいの子供が、女の人の後ろに隠れた。
隠れて、そっと顔半分出して此方を伺う姿は…。

クリクリした大きな紫の瞳、ショートにしたら長めの栗色の髪。

「あの女の子、すごくかわいい…」
「あらアスラン、あの子は男の子よ?」

えっ…と思った。だって、女の子にしか見えないのに。
なんだか顔が熱くなってくる。

「やだわアスランってば。あの子、気に入っっちゃったの?」

母は、クスクス笑って。挨拶してらっしゃいと、ボクの背中を押し出した。


一歩、二歩と近づいて…。

「ボクは、アスランだよ。…キミの名前は?」

ボクは、その子に精一杯笑ってみる。

するとその子は何度か瞬いて、自分が隠れる女の人と何か内緒話をした。
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