リクエスト
□君がいるそれだけで
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気が付いたらいつも探していた。
あの何ものにも屈さなぬようなあの黒髪を・・・
思えばいつもその姿を探していたのかもしれない。
今日だってそうだ。
一人で飲みに来たはずなのに、気づけば店内をキョキョロと見回して・・・
ホント何やってんだ俺――
会ってもろくに喧嘩くらいしかしない仲だったはずなのに・・・
いや、別に喧嘩がしたい訳じゃないんだけどさ。
でも何故か素直になれなくて、ついつい余計なことばかり言っちゃうっていうか・・・。
今更素直になんて・・・なれねぇーよなぁ。
「俺って相当バカじゃんか」
素直になれない理由なんて知ってんだよ。
だってアイツを見てたら分かるっつーの
俺がアイツを見る時の眼と
同じ目でアイツも俺を見てんだから。
俺はそれに甘えてるだけ―――
「どうにかなんねぇかな、この性格・・・」
ハハッっと乾いた笑いを溢してから、一気に残りの酒を飲み干して店を出た。
辛気臭くなるのは性に合わない。今日はとっとと家に帰ろう。
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