リクエスト

□君がいるそれだけで
1ページ/4ページ

気が付いたらいつも探していた。
あの何ものにも屈さなぬようなあの黒髪を・・・




思えばいつもその姿を探していたのかもしれない。
今日だってそうだ。
一人で飲みに来たはずなのに、気づけば店内をキョキョロと見回して・・・

ホント何やってんだ俺――

会ってもろくに喧嘩くらいしかしない仲だったはずなのに・・・

いや、別に喧嘩がしたい訳じゃないんだけどさ。
でも何故か素直になれなくて、ついつい余計なことばかり言っちゃうっていうか・・・。

今更素直になんて・・・なれねぇーよなぁ。

「俺って相当バカじゃんか」

素直になれない理由なんて知ってんだよ。
だってアイツを見てたら分かるっつーの
俺がアイツを見る時の眼と
同じ目でアイツも俺を見てんだから。

俺はそれに甘えてるだけ―――

「どうにかなんねぇかな、この性格・・・」

ハハッっと乾いた笑いを溢してから、一気に残りの酒を飲み干して店を出た。

辛気臭くなるのは性に合わない。今日はとっとと家に帰ろう。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ