リクエスト

□赤い糸
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あなたの指に絡み付く、真っ赤な糸が見える。

それは私たちのまわりをぐるぐる回って、私の指に絡み付いている。

それはまるで遠回りな私たちの関係を表しているようで…なんだか笑えた


ああ、よかった。
あなたの指に絡み付く糸の先が私であって。
あなたと私は結ばれている


けれど、

安堵からくる笑みはすぐに消えた


だってまだわからないでしょう?


私はもう、私であって私でないのだから―――


この糸と本当に繋がっているのは『私』?

それとも『私の器』の白緑?


「しゅっ、銀朱?」


私を心配そうに覗き込むあなたの瞳にはちゃんと私が映っているというのに…

あなたと今こうして見つめ合っているのは私だというのに…

なんて残酷なんでしょう


あなたが見ているのは『私』か『白緑』か、あなたにしか知り得ないこと


「どうしたんだい?ぼぅっとして…」


あなたには真っ赤な糸は見えていないのでしょうか?


熱でもあるのかい?なんて私の額に手をあてようと伸ばす。真っ赤な糸が絡んだその手を


その手が触れようとしているのは、本当に私―――?


「っ!」


「ぁ…ごめ、ん」


頭の中でそんなことがぐちゃぐちゃしていたからなんていうのは言い訳にしかならない。

私は彼の手を拒んでしまった

拒まれた自分の手をしばらく驚いた表情でじっと見ていた瞳は、悲しみを隠すように閉じられた。

ああ、私はまたあなたを傷つけてしまったのですね…


あれ以来私に触れることに躊躇していたあなたが、最近やっと少しだけ触れるようになってくれたのに…

これじゃあまた、逆戻り



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