その他
□これは、気まぐれ
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学校から帰宅して部屋に入ると、よく見知った人物がいた。
「お帰りなさい。」
「…君、不法侵入で訴えるよ」
恋人に対して相変わらず冷たいですねぇ。と言う骸はベットに座り、僕は溜め息をつきながらカバンを机の上に置き、イスに座った。
「で?どうやって入ったの?」
「クフフ、僕ならどんな方法でも入れますよ。と言いたいところですが、さすがにそれは犯罪ですから…ちゃんと合鍵で入りましたよ。」
ホラね。と僕にその鍵を見せてきたが、僕は合鍵なんて渡した覚えはない。
つまり、僕のしらない内に勝手に作ったわけで…
「どっちにしろ犯罪でしょ」
怒るのを通りこして呆れてしまい、また溜め息をついた。
「あ、そういえば帰ってきたら何て言うんですか?」
「は?」
突然変なことを言い出すから思わず間の抜けた声が出てしまった。
骸の顔を見ると早く言って欲しいと催促するように満面の笑みでこっちを見ている。
はっきり言って気持ち悪い。
思わず自然に口にしてしまいそうだったのをなんとか押さえこんだ。
「何でそんなこと言わなきゃならないのさ」
「だって、一人だったら言わないじゃないですか?でも、今日はこうして君の帰りを待つ僕がいるんですから」
ね?とまた催促された。
確かに一人で暮らしてるから一々そんなことは言わない。僕以外の人なんていないし、言ったところで虚しさが残るだけだから。
「そんなのっ、勝手に君が入ってきて勝手に待ってたんでしょ」
でもそんなこと急に言われると気恥ずかしくなる。
「絶対、言わないからね」
何をそんなに拒否する必要があるのか…僕自身疑問に思ったがもう後には引けずにいた。
すると骸は仕方ないというように溜め息をついて立ち上がった。
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