その他
□与えられた感情
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思えば初めて出会った瞬間から彼に惹かれたのだろう。
契約者らしからぬ行動ばかりする彼に
本物の空が消え、我々契約者が現れてから10年。君は一体何を思い過ごしてきたのか…
何が君をそうさせているのか…
考えれば考える程分からなくなる。
「ようやく会えましたね。黒くん」
そして今、目の前には彼がいる。
「すみません。人違いじゃありませんか?」
あぁ、そうか。今の君は『黒』ではなく『李舜生』という名だったか。
「君は嘘が上手い。そうやって目的の為なら何人もの人間を騙してきたのかい?Mr,BK201」
「………」
ほら、そう言うと君はムっと怒った表情をする。
どう考えても契約者らしくないじゃないか。
我々契約者には感情など必要ないというのに。
なのにどうして君は…
そして、どうして私は…
君に影響されたのか
感情などいらないはずだというのに、君を前にするとこんなにも心掻き乱される。
まるで、これは恋のようじゃないか。
「…責任を、取ってもらわねばなりませんね?」
契約者である私に、人を愛するという感情を与えた君に―――
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