あまつき

□あるナツノヒ
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他の妖達の目があるから冬にしか行けないと前から言ってあるのに…


「あんた…馬鹿じゃないの?」


いつ来るかも、いや、来る確率の方が低いというのに、真夏の日差しから避けるように木陰に座っている銀朱の姿があった。


「だって、もしあなたが此処へ来た時に私が来なかったら淋しがるでしょう?」


何でもないことのように笑って言う銀朱。前に会ったのは春だったというのにあれからずっと、毎日ここで一人で待っていたのか…


「っな、馬鹿じゃないの!?あんたのそういうところ大嫌いだよ」


「ええ、私はあなたのそういうところ、大好きですよ?」


「〜〜っ」


そっと、壊れ物を扱うように優しく抱きしめられた。真夏にそんなことされたら暑いというのに、温かくで安心する自分がいた。


「っ…あ、明日」


「はい?」


そんなふうに思ってしまった自分が恥ずかしくて、銀朱の腕の中から無理矢理抜け出した。

目の前にはどうしたのだというような顔の銀朱。言えるだろうか、ちゃんと。少しでも与えて貰ってばかりの優しさを返したい。自分にできるだろうか…?


「明日はっ…!ちゃんと来るから……」


「…わかりました。じゃあ、約束の指切りですね」


一瞬きょとんとした銀朱顔が嬉しそうな笑顔に変わり、指切りですよ?と小指をこちらに差し出した。


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