リクエスト
□あなたなら…
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「終わったよ」
あまり長く待たせるのも悪いと思い、急いで残った書類を終わらせた。
「んじゃ、帰るかー」
早く終わらせたつもりではあったけど30分以上は待たせただろう。けど、山本はいつもの様に笑って帰ろうと言った。
僕には絶対出来ない。
こんな些細な優しさにさえも僕は嬉しくて、幸せだと思う。
他愛もない会話を交しながら歩いていると、山本が公園を指差し僕に提案してきた。
「なぁ、寄り道しねぇか?」
「寄り道って…公園?」
面倒臭い。
本音は正直それだ。しかし僕の考えを読み取っているかのように山本は続けた。
「まぁまぁ!俺飲み物買ってくるからそこに座ってて待っててくれよ!」
「ちょっと…!」
人の意見を完全に無視し、山本は飲み物を買いに走って行った。
なんて自分勝手なんだろう…。そう思いながらベンチに座って気付いた。
自分勝手はお互い様か…
自分でも気付いていないだけで、実は僕らは似ているのかもしれない。
新たな発見に微笑んでいるとちょうど山本がこっちに向かって走ってきた。
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