その他
□冬休みが明けたら…
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君のまわりにはいつも沢田綱吉や獄寺ってやつがいるから。朝も、休み時間も、昼休みも……いつも
昼休みに一緒に食べようと誘われたこともあったけど、とてもそんな気にはなれなかった。
嫉妬とかそういうものでは多分ないけれど、あの中に一緒にいたら、僕一人取り残された気分になってしまいそうだから。
急に、不安になる。
山本が僕のことを好きだっていうのはちゃんと心の中では分かってるつもりなのに、色んな人に笑顔を見せる山本を見る度、僕はいつも不安になる。
「俺はさ、ちゃんとお前のこと好きだから。あと、明日からこっちで昼飯食べてもいいか?」
「………ぇ」
いつも一人じゃ寂しいだろ?そう言ってから紅茶を入れてくると山本は立ち上がった。
見透かされてるのかと思った。僕の不安を
同時に何をそこまで不安になる必要があるのかとも思った。
こんなにも僕のことを想ってくれているというのに…
「僕も…好きだよ」
山本には聞こえないように小さな声で言った。
「ん?何か言ったか?」
そこへちょうどティーカップを持った山本がやってきた。
「別に、何でもないよ」
面と向かってはまだ言えないけど、これでも君と付き合い始めてから素直になった方だ。
山本は相変わらずの笑顔で温かい紅茶を僕に差しだしてきた。
【好き】と君にはっきり言えるまでまだ時間はかかるけど、もうひとつの方なら言える気がする。
「…ありがと」
冬休みは今日で終わって、明日からは学校が始まる。
休みの日と違って、やっぱり会いたい時にすぐ会えるわけじゃないけど、それでも楽しみがひとつ増えた。
冬休みが明けるのもそんなに悪くないかもしれない―――
end.