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□争奪戦で5題
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『花見の場所争奪戦』


「ピヨひこへ。

ふえ科で花見をするので
ばしょをとっておいてください。

ジャガージュン市。」

バイトから帰ったら、テーブルにジャガーさんが書いた手紙があった。いろいろとツッコミたいところだけど、生憎当の本人はこの狭い部屋のどこを探してもいない。後で文句を言われるのも嫌なので、押し入れの中からブルーシートを引っ張り出して、近くの公園に出掛けた。

「海の匂い……?」

歩いている途中、ブルーシートの匂いから海を連想した。去年の夏に海で使って以来、一度も使っていないからだろう。外でブルーシートを広げるようなイベント事は僕らには滅多に無い。

「着いた、けど…」

今の季節は冬。それもうっすら雪まで積もっているような真冬だ。こんなときに公園で花見をしようなんて酔狂な人は僕以外にいないらしく(僕もそんな人ではないが)、園内には誰もいない。これでは場所取りも何も無いが、ジャガーさんが機嫌を損ねるといろいろと面倒なのであまり考えないようにする。

「おーピヨ彦、場所取りご苦労さん」

「……遅いよ」

「まぁまぁまぁまぁ、あったかいのも買ってきたから。ピヨ彦のおかげでいい場所で見れるしな」

「いい場所で見れるったって、見るものなんてないでしょ」

「バカ言え、アレ見てみろよ」

そう言ってジャガーさんがどこかに指をさす。それに僕は目をやる。

「す、ごい……」

「だろ?冬にしか、それも雪が降るようなさっむい時にしか見れない花なんだってよ。本当はもっと高い山じゃないと咲かないんだけど、この公園には何故か咲くらしい」

ジャガーさんがいろいろと説明してくれるけど、僕の頭には半分くらいしか入ってこない。その花は、すごく白くて、目を離したら雪に埋もれてしまいそうで、ずっと見ていたいと思った。

「他のやつらには集合時間30分遅く言ってあるから、それまで二人でゆっくり見てよーぜ」

「ジャガーさん」

「ん?」

「…ありがとう」

「…んん」


冬にしか咲かない花
牧物\(^o^)/w
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