Dream
□約束を果たすとき、
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昔、まだ自分と幸村が子供だった頃。
「ゆきむら、おまえ すきなおなごはおるかの?」
「はい、おります!」
「おお!おるのか!」
「あにうえです!」
「おお!そうかそうか、せっしゃがすきか!」
「はい!それがし、しょうらいはあにうえをヨメにとりたいとかんがえております!!」
「そうか!ではせっしゃもしょうらいはゆきむらのところへヨメにいくぞ!!」
「あにうえぇぇええ!!!」
「ゆきむるぁぁああぁぁ!!!」
「…懐かしいのぅ」
「?」
屋敷の縁側で己の弟の団子をほおばる様子を眺めていると、ふと幼い頃の記憶がよみがえった。
「昔よりはるかにたくましくなったなぁ、兄は嬉しいぞ」
「兄上にそう言って頂けるとは、この幸村、幸せに御座います!」
拙者は至極当たり前のことを言っただけだったが幸村はその一言にありもしない尻尾をぱたぱたと振って、団子を手に持ち満面の笑みを表しそう返した。
しかしどうして、体躯は立派なものになったが、こういうところに愛らしさを感じてしまう。
やはり良い意味で本質は変わっていないのだろう。