短編

□君が心配
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「…!敵です!」


―突然の魔物の咆哮
気配を消していたのか、夜営付近まで魔物は近づいていた
咆哮は魔物達での合図のようで魔物達は集団でルーク達を取り囲む


「迂闊でしたね」

「まさかこんなに近くにいたのに気がつかなかったとはな…」


皆それぞれ武器を構え戦闘体勢に入る
ルークも今までの思考を振り払い武器を構える


「ルーク。油断するなよ」

「わかってるつーの!」


ルークはガイに注意を促すとルークはいつもと何ら変わらない様子で返した
しかし、ガイはさっきまで悩み事をしていたルークがまだ戦闘にうまく集中出来ていないかも知れないと握った剣をさらに強く握り直すと敵を見据える


「行くぜ!」


ルークの掛け声と同時に敵の咆哮
一斉に襲い掛かってくる魔物の一体を横に薙ぎ払うと、次々と魔物は牙を向けて飛び掛かってくる


「双牙斬!」


ルークはうまく敵の攻撃を避けながら敵を切り裂く
後ろで詠唱をしている仲間に敵が向かわないように敵との距離を詰めて闘う


 
  


後ろから詠唱が完成したのかジェイドが声を掛ける
前衛で闘っていたガイとルークは詰めていた魔物との距離を譜術が当たらない所まで下がる


「グランドダッシャー!」


大地が盛り上がり魔物達を次々と倒していく
しかし数が多く、術で倒しきれなかった魔物達が屍を越えて襲い掛かる


「まだ、いるのかよ!?」


動きが速い為、攻撃を潜り抜けてくる魔物
魔物達は1つに集わないように間隔を空け、さらにはタイミングまでずらして襲いかかる
休む間もない襲撃に体力も着実に削られていく


「敵を分散させてはいけません!
なるべく一つに固めて、そこを術で仕留めます」

「そぅ言ってもこの数だぞ?
術だけで大丈夫なのか?!」

「はわわっ!?」

「アニス!!」


背後に迫って来ていた魔物に対応が遅れ、爪に浅く引き裂かれた背中から赤い血が染み出す
痛みから膝を着くと魔物達が容赦なくアニスを狙う
ガイは得意の軽身でバックステップを踏みアニスと魔物の間に入ると魔物を切り裂く


「ファーストエイド」
  

ティアが譜歌の詠唱を中断し、アニスに駆け寄ると回復術を掛ける
お礼を述べて、アニスは立ち上がる
次々と魔物を倒してはいるものの仲間を次々と呼ぶ為、数は一向に減らない


「キリがありませんわね」


体力も限界なのかはぁはぁと息を着くメンバー
逃げようにも囲まれている為にそれは無理だろう


「仕方ありません。
守りが薄いあの場所に一斉に譜術を放ちますのでそこから敵の輪を潜り、追ってきた敵が固まった瞬間に撃退しましょう。」

「一度、距離を置いてからだな…分かった!」


 
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